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#製品デザイン
家電製品やスマートフォン、自動車など、新製品を開発する際にはデザインをする必要があります。
製品のデザインが間違っていると、「需要がなく売れない」「製作が難しすぎて少量生産しかできない」などの理由で、販売を継続することができなくなる可能性があります。
様々な機能を詰めすぎて、高価格となってしまい売れないという状況も考えられます。
ただいい製品をデザインすればよいというものでないというところが製品デザインの難しいところです。
会社の業績をも左右するかもしれない製品デザインに関する重要事項をまとめました。
デザインは英語で「設計、計画、図案、美しさ、使いやすさを考慮した創意工夫」などの幅広い意味合いで用いられますが、製品デザインに関してもこのような広義な意味のデザインとして行われます。
製品の目的・コンセプト・販売する市場、製品の価格決定から量産化するための手法・販売ルートを決め、一般販売されるまでの状態を作ることを「製品デザイン」といえます。
重要なのは、どの項目が欠けても優れた製品デザインにはならないということです。製品のデザインはさまざまな項目のバランスをとることが必要です。
製品デザインの中には「プロダクトデザイン」と「インダストリアルデザイン」があります。この2つの言葉はよく聞くため、製品デザインと混同されやすいです。しかし、これらの言葉はすべて「製品デザイン」の一部を表していると言ってもよいでしょう。
プロダクトデザインは、製品デザインと同様な意味合いで用いられることが多いですが、イメージ的に、よりアート寄りの意味合いで使われることが多いです。革新的な製品デザインはプロダクトデザインの結果と言われることもあります。
一方インダストリアルデザインは、より工業的に大量生産が可能な製品をデザインするような場合に用いられます。実用的でデザイン的にもよい製品を大量に市場に供給するためにどのようなサプライチェーンを構築するか、製造に豊富で安価な材料が使えるかなど、工業寄りのデザインを意味することが多いです。
製品デザインの意味を抑えたところで、次は具体的に製品のデザインを行う際にどのような検討が必要なのかを紹介します。製品デザインは、技術部門だけでなく、営業や製造部門などさまざまな部門が意見を出し合って一つの製品を作り上げていくことが理想です。
新たな製品を市場に投入する場合、その製品を使えばどのような利点があるのか、どのような人が購入を検討するのか、ということをまず考える必要があります。ただ企業の都合で製造できるものを作っても、需要がなければ売れません。
製品を新たに作る場合、この製品コンセプトや販売市場がとても重要です。これを検討する工程を誤ると製品の販売台数の伸び悩みなど会社業績にも関わってきます。
製品のコンセプトや販売市場が決定されたのち、製品製造方法や販売価格などを検討します。既存の生産ラインを応用するか新たに生産ラインを立ち上げるか、製品一台あたりの原価などもこの検討に含まれます。
製品のコンセプトや大まかな生産方法など製品デザインの大枠が決定された後は、詳細設計に入ります。
製品の詳細設計を技術部門で行い、必要な原材料などを生産部門で調達します。営業部門では販売代理店の契約や、どの地域で販売を強化するかなど販売ルートの検討を行います。
こうして大枠のデザインを詳細に落とし込むことで、徐々に量産体制が強化されていきます。大量生産を予定しており、広範囲の地域での販売を目標としている場合はこの工程が入念に実施される場合が多いです。元々小ロットの限定販売や、一品一様のオーダー販売などの場合、この工程は除外される場合があります。
製品の量産体制を確立した後、製品の販売開始です。リリース後は販売のための生産活動と合わせて微修正を行います。製品デザイン時には安価だった原材料の価格が高騰した場合、代替材料を検討しなければなりません。販売ルートも代理店などの契約状況により、他社へ振り替えるなどの判断を迫られる場合もあります。
デザインされた製品は世に出ることで市場に評価されます。市場に受け入れられて大ヒットした場合、生産量の見込みを誤ると生産が追い付かない状態に陥ります。このときに生産を待ってくれる消費者がいればいいのですが、欠品状態の時に需要が一気に冷え込んでしまう場合もあります。その場合、せっかく需要に追いつくように生産を行っても、市場に製品が再投入されたころには以前ほど売り上げが伸びずに在庫を抱えてしまうこともあります。つまり製品は、リリース後もリデザインを何度も必要とします。
家電製品やスマートフォンなどの電気製品は先進的な機能をたくさん取り込むことができ、生活を一変させる力すら持っています。しかし、いくら使いやすくて画期的な製品であっても、価格が想定以上に高かったり、生産台数が少なかったりすると一般に普及するレベルに到達せず、市場に十分に供給されません。
いかに作りやすく求めやすい価格で生産できるか、生産を継続することができるかといったことも重要です。それと同時に、支持されるような見た目や使いやすい形、機能も言うまでもなく大切です。これらの部分が消費者に支持されなければ市場で評価されません。
製品デザインは、作りやすさと使いやすさ、見た目などの相反する項目を、バランスを取り、生産を無理なく継続させることがポイントと言えるでしょう。
執筆者プロフィール
西海登
ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する業務を経験する技術者。近年ではIoT関連の業務にも携わる。本業の技術職の傍ら、webライターとして活動中。