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IoTセンサーにはどんな種類がある? それぞれの活用事例も紹介

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IoTとは「Internet of Things」の略称です。「モノがインターネットに接続し、さまざまな情報を収集・管理することができる」ということは近年広く知れ渡り、製造業に身を置かれる方にとってはすでにお馴染みの言葉ではないでしょうか。
しかし、「IoTをシステムとして捉えた場合、どのような要素で構成され、どのような機能を持つか?」と問われたらどうでしょう。できることはなんとなく答えられるけれど、具体的にどのような構成で成り立っているのか、ということを明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、IoTというシステムの構成を俯瞰しイメージを大まかに掴んだ後、IoTの重要な構成要素の一つである「IoTセンサー」について掘り下げ、具体的な種類と活用事例を紹介します。

IoTセンサーとは? システムとしての位置付けから考える

IoT技術を使用すれば、設備の稼働状態をリアルタイムに監視したり、環境変化に応じてオペレーションを遠隔で操作したりすることが可能となり、生産性向上や省エネ・低コスト化などさまざまな点でメリットが生まれます。 しかし、これはIoT技術がシステム全体として生み出す「機能」の一つです。IoT技術を構成する要素に分解し、それぞれの関係性を明らかにすることで、より具体的なイメージを掴むことができます。 IoT技術を構成する要素は「IoTセンサー」「ネットワーク」「アプリケーション」の3つです。それぞれの特徴について説明します。

IoTセンサー

センサーは日本語で「感知器」などと訳され、人間の視覚や聴覚などの感覚器官と同様の機能を持った機器です。光・音・温度・圧力などさまざまな情報を検知することができ、機械や人間が扱いやすい信号に置き換える機能も持っています。あらゆるモノの情報を取得・収集するための要素で、IoTの土台となる重要な技術です。

ネットワーク

センサーによって取得された情報を送受信するための情報網です(ここでは情報を蓄積・処理するサーバーもネットワークの一部として考えています)。

ネットワークはインターネットのような外部に対してオープンなタイプと、イントラネットのようにクローズドなタイプの2つに大別できます。製造業では、その機密情報性を考慮してイントラネットを採用している企業が多いのが実情ですが、近年ではイントラネットの一部をクラウド化する動きも増えています。

また、得られた情報をデバイスの近くに設置されたエッジサーバーにて処理(前処理)する「エッジコンピューティング」という技術も注目されています。

アプリケーション

センサーとネットワークによって取得・蓄積されたさまざまなデータを表示・分析したり、制御を行ったりするのがアプリケーションです。アプリケーションの構築にはプログラミングの知識はもちろん、ネットワークとデバイス間の通信などの知識も必要です。

近年ではAI・ビッグデータを活用した分析・学習によって、より高度で複雑なアウトプットが期待できます。しかし、通信や操作画面などのUI(ユーザーインターフェース)にまつわる問題は開発段階で多く発生するため、事前の入念な確認やトライ&エラーが必要となります。

上記のようにIoTは大きく3つの要素から構成され、それぞれの持つ役割を把握することで全体のイメージを掴むことができます。そのためIoT製品を作る際には、解決したい課題に対して「どんなIoTセンサーを使い、どのようなネットワークで、どのようなアプリケーションを用いるのが良いのか?」ということをしっかりと定義することが重要です。

IoTセンサーの種類

ここからはIoT技術の土台となるIoTセンサーの主な種類について紹介します。

温度センサー

温度センサーは、対象物や対称空間の温度を測定します。

温度の測定方法は多様にあり、温度の変化によって抵抗値が変化する化合物を利用した「サーミスタ」や、2種類の異なる材質の温度差によって生じる起電力によって測定する「熱電対」、物質から放射される赤外線強度を測定する非接触の「放射温度計」などがあります。

湿度センサー

湿度センサーは、空気中に含まれている水蒸気量を測定します。

電子式の湿度センサーは主に「抵抗式」と「電気容量式」の2種類に分けれらます。どちらも感湿材料を用い、感湿材料に吸湿/脱湿される水分を電気抵抗または電気容量として捉え、電気信号へと変換しています。温度センサーと合わせて空調管理などに利用されています。

加速度センサー

加速度センサーは、「加速度=物体の速度変化」を測定します。

物体の動き・傾き・振動・衝撃などの検知に用いられます。加速度センサーにもさまざまなタイプが存在しますが、素材が伸び縮みしたときに電荷を出力する圧電素子を用いた圧電型加速度センサーが一般的です。自動車のエアバッグやゲーム機、スマートフォンなど身近なところで広く利用されています。

ジャイロセンサー

ジャイロセンサーは、物体の角速度を測定します。

前出の加速度センサーは3軸(X・Y・Z)の速度変化を検知できますが、回転は検知できません。そのため、物体の回転を検知するにはジャイロセンサーが必要となります。方式は加速度センサーと同じ圧電方式や静電容量方式などがありますが、どちらも「コリオリ力」という見かけ上の力を測定することで角速度を測定します。こちらもゲーム機やスマートフォンで広く利用されています。

光センサー

光センサーは、光の有無や強弱を測定するセンサーです。

光センサーは物質に光を当てたときに電子に変化が起こる「光電効果」と呼ばれる現象を利用したものです。検出方法としては、光を出す「投光部」と光を受け取る「受光部」から構成されるものが多いです。汎用的な事例では自動ドアや街灯、リモコンなどに利用され、工業的には物体の有無や距離を測定する光電・ファイバ・レーザーセンサーなどが広く利用されています。 また、カメラに利用されている「CCD」や「CMOS」といった撮像素子を利用し、光を画像として変換するイメージセンサーも光センサーの一種となります。

IoTセンサーの活用事例

次にIoTセンサーを使った具体的な「商品活用事例」と「製造ラインの活用事例」を見ていきましょう。

商品活用事例

IoTセンサーは、私たちの身近にあるさまざまなモノに活用されています。ここでは、商品に活用されている3つの分野を紹介します。

医療・健康分野

ウェアラブルデバイスを用いた個人のバイタル管理をはじめ、近年ではAIカメラを高齢者の自宅にセットし画像解析を用いた活動量をチェックするシステムや、排尿・排便を自動測定するデバイス、服薬の飲み忘れを防止するシステムの開発などが行われています。

介護では、内蔵した加速度またはジャイロセンサーによって、人が立ち上がる動作をサポートしてくれるベッドも実現しています。

輸送分野

輸送分野はIoT技術が最も進んでいる分野の一つです。海外の技術進展は目覚ましく、ソフトウェアによって個々の車体や環境に合わせたアップデートなどはすでに実現しています。

例えば、寒冷地においてバッテリーのパフォーマンスが落ちないようにソフトを遠隔でアップデートしたり、季節に合わせた音楽を車内にかけてくれるといった技術です。

日本においても、近年では運転状況を蓄積し、安全運転を心掛ければ保険料が安くなるといった保険商品も開発されています。これは加速度センサーなどを用い、急発進・急停止などを検知してデータを保存する方法を採用しています。

家電分野

家電分野では、人の出入りを検知して自動でON・OFFする照明や、自分の位置や障害物を検知するお掃除ロボットはすでにお馴染みですね。

近年では、地震発生時に震度を検知して点灯するLEDライトや、乾電池に装着することでおもちゃや家電製品をスマートフォンで操作できるデバイスなども登場しています。

製造ラインの活用事例

続いて、自動化が進む製造ラインの2つの活用事例を見ていきましょう。

見える化による生産性の向上

IoTセンサーを製造ラインで活用することによって、設備の稼働状況や材料の在庫、従業員の負荷・安全状態、需給予測などがリアルタイムに計測できます。 例えば、材料が投入されておらず長時間待機状態となっている装置や、過度な仕入れ材料による高コスト化の実態が見えてきます。現況を見える化することで、製造に必要な設備や材料・人材の配置などをさらに改善するための課題を設定することができます。

装置の故障・チョコ停を予防する

製造での大きな問題として挙げられるのが、装置の故障です。従来は定期的なメンテナンスしか対応策はなかったため、突発的な故障などは不良品の流出など大きなリスクを孕んでいました。 しかし、IoTセンサーを使えば装置の温度・回転数・振動などのデータを収集・蓄積することができ、不具合の予兆を把握することができます。これにより、装置に故障が発生する前に防ぐことができ、ラインストップのリスクを大きく軽減することが見込まれます。また、いわゆる「チョコ停」が起きる前後の装置状況も見える化できるため、生産性の向上も期待できるでしょう。

まとめ

5GやAIなど黎明期を終えた技術はIoTセンサーと親和性が高く、今後飛躍的な普及が期待されます。一方で、IoTセンサーの導入には、コストがかかることや専門知識を持った人材の確保が必要など、多くのハードルがあることも確かです。それらのハードルを乗り越え、IoTセンサーによるメリットを享受できるようにするためにも、組織に見合ったシステムを考えていく必要があります。アルテクナでは、これまでに膨大な量の設計知識・ノウハウを蓄えており、お客様の課題に見合ったシステムのご提案が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール:

Kamijo

10年以上「ものづくり」に携わってきた機械設計エンジニア。ものづくり・機械設計・生産技術・哲学・歴史・経済が得意な分野。

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