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コネクテッドカーとは、車を常にインターネットに接続している技術の総称です。連動型自動車保険やコンシェルジュなど、各国の自動車メーカーがさまざまなサービスを提供しています。 電動化や自動運転と同じく、これからの自動車業界に無くてはならないコネクテッドカーが、今後どのように普及し、そのためにはどんな課題があるのか。また、現状どのようなサービスが展開され、各自動車メーカーがどのような取り組みを行っているのか解説します。
総務省の資料では、コネクテッドカーを「ICT端末としての機能を有する自動車」と表現しており、コネクテッドカーの主な目的は、周囲の道路状況や車両の状態などを取得し、その集めた情報を分析することによってこれまでになかったような価値を作り上げることです。
コネクテッドカーが普及することにより、さまざまな情報がインターネットを介して通信されることで、今後新しいサービスや技術の開発が期待されています。
出典:総務省|平成27年版 情報通信白書|コネクテッドカー
コネクテッドカーは、2022年現在でも連動型自動車保険、コンシェルジュサービスなどさまざま新しいビジネスが誕生しています。
コネクテッド連動型自動車保険とは、カーナビなどの端末を使いどのような道を通ったか、速度はどれくらいかなどのデータを分析し個別に保険料を設定するサービス。安全運転をしているドライバーは、その分だけ保険料を安くすることが可能です。
また、コネクテッドカーは盗難車両を追跡する機能があり、車種によっては遠隔操作で盗難車両のエンジンを止めることができます。
このように、車両自体の使い方や利便性に加え周辺サービスに至るまで、コネクテッドカーが普及することにより新しいビジネスが誕生。新車の販売台数が頭打ちになる中、新たな収益源として注目され始めています。
ドライバー不足や交通事故の撲滅などの目的で進められているバスやタクシーの完全自動運転ですが、見通しが悪い場所や渋滞などを即座に確認できるコネクテッドカーの開発が重要な要素です。
例えば通信事業会社 とインターネット事業会社 が提携して、大学のキャンパス内を走らせる自動運転バスにおいて実証実験の段階まで進行しています。
近年注目されるようになったコネクテッドカーですが、順調に普及しているとは言えません。コネクテッドカーが一層普及するために解決しなければならない主な課題は、関連法令やインフラの整備です。
コネクテッドカーの最終目標は完全自動運転であり、完全自動運転を実現するためには車側の技術だけでなく、万が一事故が起きた際の責任の所在を明確にするなど自動運転に関わる法律を整備しなければなりません。
また、自動運転と協調することによって、交通インフラの整備も重要課題となります。交通規制情報や歩行者情報の充実、自動運転車専用レーンなどさまざまな対策や方法が提案されてはいるものの、まだ進展がないのが現状です。
富士経済プレスリリースによると、2021年コネクテッドカーの新車販売見込み台数は、日本が370万台で2020年比は108.8%、2035年予測では350万台で2020年と比べると102.9%と微増にとどまっています。
対して他の国を見てみると、どの国も伸び率は日本より大きく、中国に至っては2035年までの15年間で2020年に比べ4.0倍に増えると予測されており、日本が大きく出遅れていることは否定できません。
自動車業界は、電動化や自動運転をはじめとした最先端技術を中心とした新たなフェーズへと変化するときを迎え、コネクテッドカーもこれからの自動車業界に無くてはならない技術です。新たなサービスを生み出し、日本の自動車業界がより発展するためにも官民一体となった推進施策が欠かせません。
出典:コネクテッドカー(つながる車)の世界市場を調査│富士経済プレスリリース
今まさに、世界各国でコネクテッドカーやサービスの開発が進められ、日本の自動車メーカーもさまざまな方向でコネクテッドカーを使ったサービスを展開しています。
ここからは、日本と海外の自動車メーカー5社をピックアップし、現状のコネクテッドカー関連のサービスをご紹介します。
国内でもっともはやくコネクテッドカーを導入したトヨタでは、2018年にカローラスポーツとクラウンから搭載を開始しました。
現在提供されているサービスは、スマートフォンのアプリを使い、乗車前からエンジンとエアコンを起動させることができる「リモートスタート」、飲食店や駐車場の空き情報をナビ画面にリアルタイムで表示する「コネクティッドナビ」など、これまでになかった快適、便利なサービスを提供しています。
日産はルノーや三菱自動車と組織するアライアンスで、2030年に向けた共通ロードマップとして、2022年1月にモビリティのバリューチェーンに関する計画を発表しました。
日産・ルノー・三菱自動車アライアンスでは、自動車の知能化やデジタル化での技術に加え、クラウドデータを共有。2026年までに、年間500万台以上の車両にクラウドシステムを搭載すると発表しています。
ホンダは通信機器を含む車載通信モジュールを搭載することで「Honda CONNECT」を提供。さらにHonda Total Care プレミアムにおいて、緊急時に車内のボタンで通知ができる緊急サポートセンターや車内Wi-Fi、アプリにおいてのデジタルキーやエアコンリモート操作など、さまざまなサービスを展開しています。
2021年の段階で、アメリカのコネクテッドカーのシェア率1位(23%)のGM。2022年には特許プール管理会社のAvanciのコネクテッドカー向けの必須特許ライセンスを受けたことで2G〜4Gの特許技術を活用することができ、さらに今後シェア率を伸ばす可能性があります。
GMの主なサービスである「Ultifi」では、スマホのアプリを使って駐車位置や走行状態、さらにメンテナンスが必要な箇所まで確認可能。さらに、GMは自動車保険である「OnStar Insurance Services」を保険代理店として、走行内容に応じた保険料を算出し万一事故があった場合でも、ドライバーに責任があるかどうかも把握できるなど、コネクテッドカーを検討してきたメーカーらしく、よりきめ細やかなサービスを提供しています。
VWジャパンでは、車載のインフォテイメントシステムとスマートフォンを連携させるアプリ「We Connect」を提供。2020年12月以降に発売されたVW社のほとんどに搭載されています。
また、VWはメーカーとして、コネクテッドカーや自動運転に関わるソフトウェアの開発にも力を入れており、ソフトウェア専門開発子会社「CARIAD」を2019年設立。グループ内で共通して使用できるOSやクラウドを開発することで簡素化し、効率化と収益性の向上を目指しています。
車を常にインターネット接続された状態にしておき、さまざまなデータを取得することできるコネクテッドカー。そのデータを分析することで、路線バスやタクシーの効率的な運用、一般家庭レベルでは個別保険料の算出など、社会全体を効率化し利便性を向上させるさまざまなサービスやビジネスが誕生しています。現在の日本において、コネクテッドカーの普及はこれからといったところ。電動化や自動運転など、いま注目されている最新技術と共に、今後益々の普及が期待されています。
執筆者プロフィール
増田 真吾
国産車ディーラーにて約4年間、一般整備工場にて約10年間整備士、および自動車検査員をとして勤務。その後国内最大手自動車販売会社本部にて、保証判定や提携工場様との折衝および技術相談業務に従事。現在はライターとして、自動車メディアの編集業務、自動車関連の執筆、イベントレポートなどの制作を行う傍ら、株式会社グラフィカ・ワンを設立し、WEBサイトや動画制作にも携わっている。